WSETとは?
WSETとは1969年に創立されたWine & Spirit Education Trustの略称で、イギリスに本部を置く、世界最大のワイン教育機関です。WSETが世界中で提供しているプログラムはLevel 1からLevel 4までの4レベルに分かれており、各コース受講後の試験に合格すると認定資格が得られます。この資格は、世界で通じる国際的に認められたワインの資格です。
WSETが提供するプログラムはレベルが高くなるごとに難易度が上がり、Level 1は初心者向け、Level 4はワインを専門に扱うプロフェッショナル向けの上級資格で、WSET Diplomaと呼ばれています。 Diplomaは世界でまだ10,000人程度しかいない、非常に難易度の高い資格です。
WSETの資格は、ワイン及びアルコール飲料を流通の視点から評価するという考え方に基づきます。そのため、想定する試験対象は、ワインの生産、流通、小売、サービスという広い分野に携わる方、そして一般のワイン愛飲家です。
WSETの試験内容は?
Level 1と2では知識を問う理論試験のみですが、Level 3と4では理論に加え、テイスティング能力も問われます。理論試験では、細かい産地名やブドウ品種名をひたすら暗記し回答するのではなく、それらの知識・情報を踏まえた上で、「なぜこの地域で生産されるこの品種は酸が高いのか?」というような問いに対し、論理的に回答することが求められます。そのため、産地の気候、土壌、地形、醸造、熟成方法に関する知識と理解を深め、且つ、応用する力を付ける必要があります。
テイスティングでは、WSETが定めた「系統的テースティングアプローチ:ワイン(SAT)」という統一的な基準に沿って品質評価する力が求められます。試験ではブラインド・テイスティング(銘柄が分からない状態でグラスに入ったワインを評価する方法)で、香り・風味の特徴と構成成分を明確にし、ワインの品質と飲み頃に関する結論を導き出せるかが査定されます。
Level 4 のDiplomaはWSETの中で最も難易度の高い資格ですが、実は更にその上があり、Diplomaを取得すると、ワイン界の最高峰資格とも言われるマスター・オブ・ワインに挑戦することができます。なお、マスター・オブ・ワイン保有者は世界中で31カ国416名しかいません(2021年3月時点)。
WSETの目的は?
このように、WSETが試験受講者に求めるのは、ワインの品質を分析し正しく評価することです。ブドウ栽培からワイン醸造まで体型的に学べるようカリキュラムが組まれているため、各レベルの学習を通じて確実にワインの知識や理解が深まります。ソムリエのようにお客様へのワインの提案や接客技術といった接客業で求められる知識と技術ではなく、ワインの流通に携わる人が身につけるべき知識ともいえます。
ソムリエやワインエキスパートと違うの?
日本では、ワインの資格といったらソムリエ、と思う方も多いように、日本ソムリエ協会が実施するソムリエ資格の方が認知度が高く、WSETはまだまだ馴染みがないかもしれません。日本ソムリエ協会は、日本でのワインを中心とした飲料の普及と食文化の向上、豊かな食生活の提供を目指して発足しました。ソムリエは飲料業界に従事する人々を対象とした専門資格です。同じ協会が実施する資格でも、ワインエキスパートは一般愛好家が対象です。試験は筆記とテイスティングのみ、ソムリエ試験のようなサービス実技試験はありません。ソムリエ試験とワインエキスパート試験の難易度は同等のようです。
WSETは前述のように発足目的や対象が異なるため、サービス実技試験はなく、理論試験では学んだ知識を総動員し、ひたすら考えて「なぜ?」に対する回答を論理的に導き出すことが求められます。
(理論試験の対策として4択問題クイズアプリと記述問題アプリを作ってみました!どんな雰囲気の問題が出題されるのか知りたい方や、受験予定の方はこちらのリンクから→WSETクイズアプリ)
以上がWSETのご紹介でした。
資格の成り立ちや目的は違いますが、いずれの資格も学習を通してワインへの理解が深まり、更にワインが好きに、そして楽しめるようになるはずです。人によっては、試験のことを考えるとワインは楽しめないという方や、頭でなく舌でワインを楽しみたいと思う方もいらっしゃるのでは?私も、何も考えずにワインを楽しく飲んでる方が好きです(笑)!
ワインの楽しみ方は人それぞれです。当ショップでは気軽にワインを楽しめるライフスタイルを提案していますので、知識やセオリーは抜きにして、自分が美味しい!好き!と感じるワインを、自由なスタイルで楽しみましょう!!