ネーロ・ディ・トロイアの真価を引き出す造り手

ネーロ・ディ・トロイアの真価を引き出す造り手

プーリア北部・ルチェーラの小さなワイナリー「カンティーナ・ラ・マルケーザ」

プーリア州北部の古都ルチェーラ(Lucera)。歴史と自然が調和するこの土地の郊外に、小規模ながらも強い信念を持ったワイナリーがあります。

それが「カンティーナ・ラ・マルケーザ(Cantina La Marchesa)」。
1988年に設立されて以来、家族経営と信頼のおける少人数のチームで丁寧に運営されてきたワイナリーで、上質なネーロ・ディ・トロイア100%のワイン造りを実現している数少ない造り手のひとつです。


土壌と気候が生む繊細なワインスタイル

ワイナリーが位置するのは海抜100メートルほどの土地。石灰質・粘土質・砂質が混ざる複雑な土壌に加え、昼夜の寒暖差も大きいため、ブドウは引き締まった酸と香りを兼ね備えたスタイルに育ちます。

畑はワイナリーから半径300メートル以内にあり、収穫後すぐに醸造できる理想的な立地。畑の総面積は約15ヘクタール。毎日欠かさず畑を見回るオーナーのセルジオ・ルーチョ・グラッソ氏は、変化を見逃さず、まさに「畑と対話する」ように手を入れています。

 

理想を形にした家族ワイナリー

セルジオ氏は、祖父の代から続くブドウ農家の出身。かつては地元のワイン協同組合で活動していましたが、「自分たちの理想のワインを造りたい」との思いから独立を決意。現在は、醸造を担当するセルジオ氏と、輸出・広報を担うソムリエ資格を持つ妻マリカ・マッジ氏の夫妻によってワイナリーが運営されています。

訪問者が驚くのは、その人柄のギャップ。陽気でフレンドリーな語り口の一方で、ブドウとワインへの姿勢は極めて真摯で厳格。畑では1本1本の樹と向き合い、丁寧な手入れを怠りません。

 

ネーロ・ディ・トロイア本来の魅力とは?

プーリア北部を代表する品種ネーロ・ディ・トロイアは、多くの生産者が果実味を前面に出した濃厚なスタイルに仕上げたり、他品種とブレンドしたりします。しかし、ラ・マルケーザのアプローチは違います。

彼らが目指すのは、ドライで花のような香りをもつ、繊細で気品あるネーロ・ディ・トロイア。この品種は栽培も醸造も難しく、丁寧なケアとタイミング管理が不可欠です。
畑に隣接したセラーを持ち、日々の管理を徹底できる小規模な環境だからこそ、このスタイルを実現できるのです。

 

畑とセラーがつながる、理想的な環境

ある夏の収穫後、筆者が訪問した際には、セルジオ氏がランチ中も醸造タンクの温度を監視し、即座にチームへ指示を出していました。とくに発酵初期の温度管理が重要であり、わずかな変化も見逃さないという彼の姿勢からは、責任感と情熱の深さが伝わってきました。

ワイナリーでは、真っ白な大型犬たちが訪問者を出迎えてくれるのも印象的。訪問には事前の連絡が必要ですが、足を運べば必ず温かく迎えてくれることでしょう。


単一品種の気品──「イル・ネローネ・デッラ・マルケーザ」

フラッグシップワインである「Il Nerone della Marchesa」は、ネーロ・ディ・トロイア100%。プーリアのワインでありながら、どこか北イタリアのエレガンスを思わせる香り高く気品ある仕上がり。

力強さよりもエレガンスを重視した1本で、プーリアのワインのイメージを塗り替える出会いとなるかもしれません。


📚 もっと詳しく知りたい方へ


このワイナリー訪問記は、当社代表が執筆した書籍
『南イタリア・プーリアを旅する とっておきのワインと料理の楽しみ方ガイド: ワインインポーターが出会った、誰も知らない本当のプーリア』
にも掲載されています。ワインと土地の物語を深く味わいたい方におすすめです。

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